こんにちは。都筑区の放課後等デイサービスFORTUNAです。
以前に、「不登校児と発達障害児童との関係性について」というシンポジウムに参加したことがあります。その時に知り合いになった別の県の放デイの職員の方から先日相談を受けました。このブログを読まれている方の中にも同じような思いや経験をされている方がおられるかもしれませんので、長文になってしまいますが参考になればと思い書かせていただきます。(相談してきた相手本人には了解を得ています)
相談の内容は、「今の事業所では、SSTの一環だと言って目的もなく小学生の子どもたちを屋内外で遊ばせているばかりで、なかなか本来の療育スケジュールどおりに療育を進めることができません。行動の切り替えが出来ないので、オモチャの使用や動画の閲覧を中止にしたところ、ある小学5年生の児童がその事業所だけでなく学校にもいかなくなってしまって保護者から色々と言われて困っています。どうしたら良いですか」というものでした。
実際にその子どもを見ているわけでもなく、その事業所に勤めているわけではないので、いい加減な話もできませんので、あくまで一般的な意見に照らし、自身の考えも含めて述べさせて頂きます。
まず相談相手が悩んでいることが何なのかということです。「遊ばせる」ことが問題なのか?ということについてですが、子どもたちの成長にとって「集団で遊ぶ」、「一人で遊ぶ」どちらも「遊び」は、個人的には非常に重要だと思っています。
理由としては、集団での遊びの中には、その遊びのルールや子どもたち同士でのルールなど、今後社会に出て社会の規律に則って生活を営んでいくうえで、規則やルールについて学んでいくことが出来るというメリットがあります。また、一人遊びは、自分の想像力を豊かにし、集中力を鍛え自分で何かをやり遂げる(やり続ける)ための力になり得ることが出来ます。また自分が楽しいことを追求することもできると考えているからです。
しかし、ここで彼が問題としているのは、「目的もなく、子どもに主導権を与えて好きな時間遊ばせていることが問題ではないのか?」ということだと理解したので、それには同意しました。
例えば、困り事の有無に関係なく子どものやりたいよう、好きなようにさせてしまうとルールを守ることが難しくなり、宿題などをせずにそれこそ際限なくゲームやYouTube動画を見たりとやりたいことをするのが子どもの本質だと思います。しかしFORTUNAは、そんな生活が続きそれが習慣化してしまうと、高学年になり中学生、高校生に成長し、社会に出なくてはならなくなったときに非常に困るのではないかと考えています。(このことは、小学校教師を実際に経験したから言えるのですが、低学年の先生たちが学校生活の基本をしっかりと教えていない場合、その子たちが高学年に上がってきたときに収集がつかなくなり、正常に戻すのに非常に時間がかかった経験があります)
他害や多動など困り事が他の子どもたちよりもある子どもの場合は尚更だと思います。
シンポジウム内でも、ある保護者の方が、(困り事がある6年生の子どもに、「もうお兄さんになんだからと自分で考えて行動して」と言っても、最近は言うことを全く聞いてくれません。注意しても反抗的な態度を取り、部屋にこもってしまいます。低学年のうちにもう少し切り替えが出来るように学校で見てくれていたら、こうはならなかったのでは。学校ではどのような教育をしているのか)と厳しく言われていたのを思い出しました。
要するに気持ちや行動の切り替え(生活態度にメリハリをつける)が出来るかどうかの問題だと思います。そのためには規則正しい生活を心掛け、やるべきことが終われば次のことをするということを習慣化させればよいとFORTUNAでは考えています。(子どもたちの言いなり?となった場合、子どもは暴れたら親が言うことを聞いてくれるという誤学習をした場合、子どもたちは要求が通らないたびに暴れるかもしれません)
低学年の内は子どもたちは出来ることが少ないためにどうしても大人に頼らなければならないことが多くあります。「何が良くて何が悪いか」「親や先生の話を聞く」時期としては、まだまだ純粋である低学年が有効だと言えます。だからFORTUNAではこの「小学校の低学年という短い期間をチャンスだと思って捉え、あらゆる場面や事象を気持ちや行動を切り替える練習を根気よく続けている」ことを相談してきた相手には伝えました。
また学校の肩を持つわけではないですが、学校の運営方法や担任をはじめとする先生方の力によっても子どもたちの出来ることの幅はどうしても変わってきてしまいます。学校は万能ではありません。この保護者の方の6年生の子どもさんが、小学校時代の6年間、どのような生活を続けて来られたかはわかりませんが、恐らくそのようになるサインは低学年の頃から出されていたような気がします。子どもたちの全てを学校が見ることはできません。ご家庭でもこのようなサインを出来るだけ見逃さず、一般的な常識や躾など、ご家庭でやっていただかなければならないことも今まであったのではないかと考えました。
学年が上がっていくうちに子どもたちには自我(心理学的には自我とは欲望とルールと折り合いをつけ、現実的に乗り越えていくという概念で捉えられています)が芽生えはじめます。しかし、子どもたちの中には、自分の都合の良いように解釈し保護者に話をすることも多々あります。またその話を100%信じてしまう保護者がおられることも事実です。他者や周りのことを考えることが出来ずに自己中心的な考えで行動してしまう子どもたちもいます。そのような子どもたちが成長し高学年になって肉体的な成長と精神的な成長にアンバランスが生じた場合、親に嘘をついたり、自分の気持ちをうまく言葉にすることが出来ず、暴言や暴力に変換して訴える場合も出てきます。
私たちFORTUNAは学校ではありませんが、元教師やほぼ全ての職員が教員免許をはじめとする教育系の資格や心理系の資格を所持しており、一般の人たちより、子どもたちへの教育・療育について知識や経験があるところが特徴です。そのため、子どもたちのサインにより早く気づき対処することができたり、学校生活の中で抜けてしまっていることを出来るだけ補ってあげることができる場所であると考えています。
「継続は力なり」という諺にもあるように自分たちが信じたことをやり続けることの大切さを感じています。また保護者の方が学校や私たちのような支援場所と連携をとり合い、社会(集団)に出て行くために必要であると考えられることがらを拾い上げ、目的を明確にした個別の支援計画にそって療育を進めていくことが大変重要であるとも考えて療育を実施しています。その毎日の療育の内容やその時の子どもたちの活動の様子はブログでも公開しています。しっかりと療育をしているからこそ保護者からの連絡帳の返事には、子どもたちの成長について嬉しい言葉やありがたい言葉を多くいただけているのだと思います。
相談してきた相手の方からは「やっぱり、子どもが小さい時から目的をもった療育は必要なんですね」と納得していただきました。
今回、他事業所の方からの相談でした。FORTUNAとしては、ブログ、フィードバック、連絡帳を通して療育内容を保護者の方々に発信してきました。(そのUP数はリタリコ発達ナビでの計測によると3年で約1500と他のどの事業所よりも圧倒的に多い数です)これからも実施した療育の様子、療育についての考え、また先生たちの新たな一面などを皆様に発信していきたいと思っています。
放課後等デイサービス FORTUNA